1日におよそ300万人が利用する東京の渋谷駅は、大規模な工事が進められ、今年3月には地上2階の私鉄のホームを地下5階に移す、大がかりな引っ越しが行われます。
これに伴って渋谷駅は、横浜と、埼玉県の各駅を直接結ぶターミナル駅に生まれ変わります。

渋谷駅はJRと私鉄の8路線が乗り入れ、1日の利用者はおよそ300万人と、東京の新宿、池袋に次ぐ全国有数のターミナル駅ですが、複雑な構造で乗り換えがしづらいことや、施設の老朽化から、大規模な工事や再開発が進められています。
このうち渋谷と横浜を結ぶ東急東横線では、今年3月、駅のホームを現在の地上2階から地下5階に移す、大がかりな引っ越しが行われます。
渋谷の手前で、線路を高架橋から地下に移す工事を進めていたもので、地下化に伴って東横線は、同じ地下5階を走る東京メトロ副都心線と直結します。
東横線は横浜高速鉄道みなとみらい線と、副都心線は東武東上線や西武池袋線とそれぞれ結ばれていることから、東横線と副都心線の直結で、全国でも珍しい5つの鉄道会社の間で直通運転が行われることになります。
これにより、例えば埼玉県の所沢駅や川越駅と、横浜市の元町・中華街駅の間で乗り換えの必要がなくなります。
また、横浜方面から新宿や池袋に向かう場合、渋谷でJR山手線に乗り換えず、東横線と副都心線の直通電車を利用することができるため、東京メトロは、副都心線の利用者が1日当たり10万人程度増えると見込んでいます。
直通運転は3月16日に始まる予定で、渋谷駅では新たな駅ビルの建設に向けた再開発も今年から本格化します。

大きく変わる渋谷駅周辺

国内有数のターミナル駅、渋谷駅の周辺は、新たな超高層ビルの建設を含む大規模な再開発工事がことしから本格化し、今後10年余りで大きく姿を変えることになります。
渋谷に最初の鉄道の駅が開業したのは、東京駅より30年ほど古い、128年前の明治18年でした。
その後、駅や周辺施設は新たな路線が開業するたびに増改築が繰り返され、複雑化していきました。
駅の周辺では今も戦前の建物が一部で使用されていますが、施設全体の老朽化が進んだことから、渋谷区や鉄道会社などが再開発事業を進めることになりました。
駅の改札やホーム、百貨店などが入っているビルは取り壊され、3棟のビルを中心とする大規模な複合施設の建設が10年余りかけて進められる計画となっています。
このうち最も高い建物は去年開業した「渋谷ヒカリエ」より高い、地上43階建ての超高層ビルで、店舗や事務所などが入って7年後の平成32年に一部が開業する予定です。
また、渋谷駅前は周辺の地域からの雨水が集まりやすいことから、地下に雨水を貯める大規模な貯留施設を作り、冠水の被害を防ぐことにしています。
さらに、電車を乗り換えやすい駅にするために、ことし3月、東急東横線のホームが移設されるのに続いて、JRは、現在離れている山手線と埼京線のホームを、将来、平行する形に改築する計画です。
渋谷区は駅周辺の再開発によって災害に強い、国際的な観光都市の建設を目指したいとしています。