映像・音楽ソフトレンタル大手「TSUTAYA」を傘下に持つカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のポイントカード事業が予想以上のペースで利益貢献し始めている。同社の2009年3月期第1四半期の連結業績は、経常利益が前年同期比40%増の35億円と第1四半期としては過去最高を記録。前年比で「TSUTAYA」店舗が44店増えたことが大きいが、ポイントカード事業の利益が3億4800万円増となった点も見逃せない。



 「TSUTAYA」は2003年、それまで店ごとに発行していた会員証を「Tカード」として全店で使える共有カードとし、発行するポイントは「Tポイント」として本部で一括管理する仕組みに切り替えた。この時点でポイントシステムを外部に開放。コンビニエンスストアのローソンやガソリンスタンドのエネオスでもTカードを提示するとポイントが貯まるようになった。



 その後、ローソンは撤退したが、映画館のワーナーマイカル、古本買い取り・販売のブックオフ、ファミリーマートなど提携企業はどんどん増え、今や46社、2万9000店に広がった(2008年6月末時点)。



 ポイントの換算レートは、貯める時も使う時も1円に付き1ポイントで一般的なポイントカードと変わりないが、使い勝手の良さが受けて発行枚数はこの8月中に3000万枚を突破する勢いだ。日本人のほぼ4人に1人、20歳代に限ってみれば過半数がTカードを所有している。



 提携先企業は、Tカード利用者に発行したポイント数に応じて、CCC傘下のTカード&マーケティングに対してシステム使用料を支払う。これがCCCグループのカード事業収益となる。つまり、CCCグループにとっては、提携先とカード会員が増えれば増えるほどカード事業収益が伸びる仕組みなのである。



 システム手数料を支払ってまで、各社がTカードと提携する理由は、一つには新規客の呼び込みだ。Tカード所有者に新たな提携先として企業名や店舗名が告知されれば、3000万人に対する販促宣伝効果が得られる。また、提携先企業に対しては顧客分析情報が提供される。自社の店舗でTカードを利用しているのは、どんな客層でどこに住んでいるのか、利用頻度はどうなっているのかといった情報をTカード&マーケティングが定期的に報告してくれるのだ。



 こうした情報は原則無料なので、自社で顧客管理・分析のために新たなシステム開発投資をするよりは、Tカードの提携先となったほうが費用対効果は高いという判断が働く。



 今年秋以降もハンバーガーチェーンのロッテリアやカラオケのシダックス・コミュニティー、カー用品のオートバックスセブンなどが次々と提携先に加わる。2008年3月期でCCCのカード事業の営業利益は15億円とまだ全体の10%強だが、今後はこの比率が飛躍的に高まる可能性が高い。ソフトレンタルに次ぐCCCの事業の柱がようやく見えてきた。